夢への扉

その9「新入社員の頃の思い出」編

 2013年4月、ソミック石川は18名の新入社員を迎えました。そこで今回の「夢への扉」は、自分の新入社員の時の思い出話をしてみたいと思います。
 
 今からもう29年も前の事になりますが、トヨタ自動車㈱に入社しました。入社してすぐに、工場実習、セールス実習の2つがありましたが、工場実習はこれまで受けた全ての教育の中でも、自分にとって一番勉強になった教育になりました。実習は、溶接現場がその職場となりましたが、真夏の暑い夜、汗まみれになり、溶接の火花でTシャツにいくつも穴を開けながら働き、また、4畳半のトヨタの寮では、扇風機を抱えて寝苦しい日々を過ごしたことを覚えています。製造現場で働く厳しさとともに現場の先輩たちに助けられた思い出は、今、自分が製造業で働くスタートであり、製造現場こそ製造業の原点だと思います。
 
 その後、1年間の実習を終え、第一生産技術部工具技術課に配属されました。工具技術課は、現場で工具のトラブルを直す部署です。その頃のトヨタには「職場先輩制度」というものがあり、新入社員一人に、指名された職場の先輩が一人付き、公私に渡り面倒を見てくれました。この部署には、新入社員教育といったものは全くなく、職場先輩の指導の下、新入社員は1年間かけて1つのテーマだけを行なう、といった教育方法でした。自分は、工具の寿命延長をテーマに、開発用の機械や量産ラインの実機にて加工トライを行ない、その都度、職場先輩から工具の種類や加工の基本を教えてもらったことを思い出します。また、教育期間中には、実習発表会が2回あり、発表用の資料を10回以上も書き直したことをよく覚えています。発表を行なうこと自体は、仕事を進めるうえでは何も産みませんが、発表資料をまとめることで、仕事の進め方そのものを叩き込まれたように思います。「テーマの背景」「現状分析」「目標」「対策」「まとめ」などの進め方は、問題解決やQCサークルの進め方の基本でもあり、それを1年間かけてじっくりと勉強したのだと思います。
 
 その年には、第一生技部に12名の新人が配属されました。自分たちは何かにつけて集まり、テニスやスキー、果てはウィンドサーフィンから合コンまでいろいろと遊んでいたのをよく覚えています。今でも、そのメンバーの何人かで年に1回は飲んでいます。皆さんも是非、同期のメンバーを大事にしてください、一生の友になること間違いなしです。
 
 これを読んでいる新入社員の皆さん、これから厳しい仕事の中でいろいろな経験をするかと思いますが、その一つひとつの仕事を、文句を言わず全力でやってください。無駄になるものは一つもありません。また、これを読んでいる上司の皆さん、仕事に遊びに公私に渡って後輩と付き合ってください。「職場先輩」として、あなたの一つひとつの言葉、働き方が後輩を育てます。人を育てる楽しさを新人君と共に覚えてください。そして、自らSOMIC WAYを実践してください。SOMIC WAYはそこにあります。